備忘録 of Making 4
バックアップ

 フィギュアを作るに当たり、試したこと&失敗したことを書き留めるページです。
 これから書き留めることは、参考になる、というよりかは初心者は
 こんな失敗もするねん。という程度にとらえて経験者の方には笑っていただき
 同じく初心者の方には"気を付けるべし"と感じていただければ
 郡津としては幸いです。

バックアップには2つの意味があります。
型自体には寿命がありその型自体または原型の
予備を取るということが1つ。
もう1つには注型時に型に添え木(バックアップ板)
のようなものをかましてゆがみ防止とすることがあげられます。

型の予備を取るには
 ・収縮率の低い反転用のキャストorシリコンor石膏などを用いて反転型を取る。
などの方法があります。
原型の予備に関しては
 ・リキャストした製品そのものをバックアップとして置いておく
  といったことがあげられます。

原型、型の予備どころか原型そのものもいらないんじゃないの?
といわれる方もいらっしゃいまして、それはそれで問題ありません。
郡津の場合も、反転型までは取ってはいません。
しかしリキャストの際、フッ素系離型剤を多めにスプレーすることもあり
表面精度が異なってしまう関係で、製品をバックアップにしてしまうと
2次製品の精度にはさらに問題が累積してしまう可能性があり、
原型そのものは型取り後も超貴重品として扱っています。
まぁそれ以前に長時間手に触れているという愛着感があるという
ことも確かなんですが。反転型についてはその道の先達たちが、
詳しいので細かいことを言ってもボロが出そうですからここまで。

で、今回のメインは注型時の型の裏面に何らかの支えを裏打ちとして
かましてやって、輪ゴムによる型のずれや生産性の向上を図ろうというものです。
バックアップ板にはバルサなどを使われる方が多いと聞きますが
郡津は今までアクリル板をクランプではさんで使っていました。
これは密着性の確認やお手軽性から判断したものですが、前回いろいろ
トラぶったことから、今回は石膏を流し込んでやって
平板を作ってやろうと判断した次第です。

結論から申し上げますと石膏の裏打ち板は正しく作られたものの場合
大変に有効です。というか今度からは石膏打ちを徹底したいと思います。

すべての型に裏打ちが必要というわけではなく、やわらかいシリコン
を常用し、かつ型容量が両面で500ccを超えるような場合には
生産性の向上を兼ねて作っておくと大変喜ばしいでしょう。

下の型をご覧ください。"みかん"の小パーツ用の方です。


いっぺんに10種類程度のパーツが取れるようになっていますが
平面的には大きいものの深さ方向には薄くそのままでは立てる事すら
できません。こういった場面で多めにシリコンを使ってもただの
無駄遣いなので、こういった場合には型支持+ずれ防止+生産性向上の
3点セットのメリットがありもはや必須といってもよいでしょう。
裏打ちと申しましても硬化するまではバリバリの流体ですから
型枠はその分高めに取ってやる必要があります。また、プラ版が型枠の場合は
問題ありませんが、ブロックを使っている場合は隙間に入り込みますので
事前に内法面をマスキングしておくことが必要です。あ、後、他所でも
書かれていますが2面目の石膏硬化が終わるまで型枠は外してはいけません。
理由は、やってみればわかります。

で、肝心の石膏ですが、これはその辺でキロ500円くらいで購入できる
教材用かA級クラスで十分です。(石膏は低級品ほど膨張するんで
そんなんじゃいやという方もおられるようですが、シリコンもほっとけば
収縮し変形する程度はあんまり変わらないので。)
で、この石膏をポリビーカーに入れて重さを計量します。
さらに必要量の水を別のポリビーカーで測ります。石膏の種類によって
必要とする水の利用は異なりますので説明書きをちゃんと読んでおきましょう。
一般的な教材用の場合石膏1キロに対し750CC程度の水が適量だった
ように思いますが、これより10%程度までなら少なくてもかまいません。
あと、ちゃんと真水を使いましょう。確実に効果不良が起こりますので
雨水や牛乳や○液を突っ込んではいけません。
次に水の入ったポリビーカーに石膏をゆっくり1分くらいかけて
振り掛けるようにかぶせていきます。適量だとすべて振りかけた後に
透明な上澄み液はほとんど発生しません。
でここからは時間をちゃんと計りましょう。2分程度静置して水を石膏に
浸透させます。石膏は化学反応で硬化するのでここでいきなりかき混ぜちゃうと
硬化不良を起こしたり硬化に長時間がかかっちゃったりするので
ちゃんと待ちましょう。
この間に型の4辺を軽くアートナイフか何かでえぐっておきます。
こうすることで、ずれを予防できたり板を当てやすくなるわけですね。
これはとても重要です。
ちなみに今まで話していた石膏は焼石膏と言う物ですが
水を混ぜ硬化した後の二水石膏の透明度の高いものをセレナイト、
透明度の低いものをアラバスターと呼びます。(余談)
余談を読んだところでちょうど2分程度になります。(笑)
ここで細長い棒のようなものを使って、3分程度撹拌します。
遅くても速くてもいけません。目安はあわ立たない程度で、速くかき混ぜる
のがいいでしょう。
完成した液は粘性が低く端からゆっくり流し込んでもちゃんといきわたります。
いきわたった後は、ちょい揺らして平面度を整えましょう。
正しい手順を守っていれば15分程度で硬化が始まり2時間程度でも
実用強度になります。これが石膏の大変よろしいところです。
簡単にはがれますのでどちらの面にどうつくか
マーキングだけしておいてからはがしましょう。厚みが1CM以上あれば
輪ゴムクランプ程度では平面ゆがみはほとんど発生しません。
そのため、金属クランプがなくても平輪ゴムクランプでも十分均等に力が加わり
ますから、生産性は飛躍的に高まります。

あと、使い残った液をそのまま排水溝に流したりしてはいけません。
これは、すべての素材についても同様。痛んだり詰まったり以前に違法ですので。
硬化後、正しい方法で廃棄してしまいましょう。